この度は「保養」と「自然」の当館をご利用いただき、ありがとうございました。
お車のタイヤがパンクしてしまい、さぞかし心細い思いをお掛けしてしまったと思います。
すぐそばの中禅寺湖のガソリンスタンドで事が足り、何よりでございました。

送迎の対応をさせていただいたのは、実は当館のオーナーです。
オーナー然とせず、ウインドブレーカーをひょいと羽織り、除雪をしていたり、工具箱を抱えて水道管の故障に応急処置をしていたり、お客様の目には「設備担当者」として映るかもしれません。
私は、当館の今の姿勢を、そのままオーナーが具現化していると感じております。

東日本大震災前は、北関東でも有数の高級リゾートとして営業しておりました。
この震災を境に、いったんクローズした当館を、現在のオーナーが買い受けました。
高級リゾートではなく、大衆旅館として再スタートをきったのです。
富裕層のプライベートや企業接待、記念日の利用という敷居の高い高級リゾートではなく、販売価格も以前の半値以下を目安とし、誰でも年に数回利用いただける大衆の宿としたのです。
その分、かけられる経費は限られてきます。
竣工から４０年近く経過した宿。大きなリノベーションはこの間なく、館内至る所に「時代」の損傷が目立ちます。

ただ、「温泉」の質と「滋味」な料理＝保養と、戦場ヶ原を踏破するハイキングの拠点としての山荘＝自然をお届けすることは叶います。

オーナー然とせず、お客様のそばに寄り添うオーナーの姿勢からは、
「禁煙室が無くても、今は勘弁してくださいね。そのうち余裕が生まれたら・・・」
「宿が傷んでますが、俺もこうして額に汗して頑張ってるから、余裕ができるまで勘弁してくださいね。」
「暑い・寒い、あるかもしれませんが、立て付けを直すまでは勘弁してくださいね」
そんな心の声が聞こえてきます。

私の解釈が間違っていたら、ご勘弁ください。
お客様が従業員の心の温もりを感じる宿を今は目指して、懸命に。

ほのかな宿 樹林　総支配人