久遠寺の開闢会にあわせて宿泊。
掃除は行き届いているが修繕は行き届いていない。他がよければ「味わい」にもなろうが、結果的には「みずぼらしい」との印象をぬぐえなかった。隣室とは障子で隔てられているだけなので、鼾も会話も丸聞こえ。ノイズキャンセリングヘッドフォンを家に忘れたのが悔やまれる。
到着すると年配の男性に客室まで案内されたが、率直に言って客商売の立居振舞ではなく、正真正銘、ただの爺さんでしかない。風呂と便所の場所が説明されただけで、食事時間の説明もなし。夕食は精進料理を頼んでいたのに、普通に刺身とかぶりの照り焼きとかが出てくる。美味ければいいが、二千円なら「高い」と感じるようなレベル。それでも宿坊でしか味わえない体験があるに違いないと自分を慰めていたが、いただいた御主題は朱印がぶれていて判読不可能。失敗しましたと一言あればこれも仏様とのご縁と了解するが、ただ渡されただけ。久遠寺の朝のお勤めに参加できるとのふれこみだったが、案内も説明も一切無し。
要約すれば、宿坊ならではの良さは微塵もない、ただのしょぼくれた旅館だった。
翌朝になってようやく、夕食を間違えたことによるお詫びと差額分の返金の申し出はあったものの、水に流すつもりはこれっぽっちもなかったので、差額の受取を拒否して宿を出る。その後気を取り直して久遠寺に向かったところ、観光案内所の係員の、チンピラがチンピラのまま年を食ったような爺さんに「おれの新車に傷がついたらどうしてくれるんじゃ」と、その新車とやらに指一本触れていないのに意味不明な言いがかりを付けられて、お参りする気も失せて帰宅の途につく。
久遠寺は立派なお寺なのに、観光地としては高野山にも比叡山にも遠く及ばない理由がよく理解できた。

旅行の目的

レジャー

同伴者

一人

宿泊年月

2016年06月