リーマンショック以来長い不況下、企業の経営戦略として近頃もてはやされているのが、経営資源の「選択と集中」である。
湯畑のすぐそばという立地に恵まれた益成屋さんは、草津のドル箱である温泉を選択し、経営資源を集中したように思える。
まだ新しい総ヒノキの大浴場や、改装されたばかり、3階専用棟（！）にある各部屋に一つの専用庭園風呂には、草津でも貴重といわれる白旗源泉と、湯畑に湧き上る湯畑源泉の湯がかけ流しであふれている。頼朝が発見したという伝説に彩られ、幔幕で囲われこんこんと湧く白旗源泉、湯畑から豪快に滝となって流れ落ちる湯畑源泉。これを見たら、誰もがこの温泉に入りたい！と思うに違いない二つの源泉に入る願いを叶えられる草津でも数少ない旅館が益成屋さんである。
しかし、改装には相当な投資が必要であったろう。
温泉施設以外のところには、潔くコストカットした痕跡がそこかしこに表れているように見える。夕食は個室で、従業員が邪魔しないためという触れ込みで料理は一気出し、プライベート感を演出するのかと思いきや、朝食は仕切りもない狭い広間に集合、コンセプトがぶれてないか？食堂食の場合、大概一人は従業員がいるものだが、ここは本当に一人もいない。どうも人件費をカットするための方便では？料理は申し訳ないが、土曜日で宿泊料が割高とはいえ、金額に見合った水準ではないといわざるを得ない。酒の種類も足りない。温泉に力を注ぎながら、追加の浴衣やタオル類は有料。洗面台にはタオルひとつなく、洗った顔や手をぬぐうのにハンカチを使う始末。温泉入ったタオルで拭けとでも？チェックアウトでカード払いを頼んだら断られた。でも奥にテンキーが……。カード会社に支払う手数料をカットしているのだろうか？
接客業でよく言われるのが「笑顔にコストはかからない」。もちろんウソだが、益成屋さんの従業員の方の接客態度はコストカットされていないのか、評価できる。清掃もゆきとどき、玄関の床は顔が映るほどに磨き抜かれている。
立地は良し、温泉に価値を置くならおすすめできる旅館。洗面用のタオルは持参を。アメニティーは一応揃っている。6部屋に絞った部屋数を補うためかやや高めの宿泊料を考えると口コミ点数は少し高すぎではないかと思う。

評価

• 総合4
• サービス4
• 立地5
• 部屋3
• 設備・アメニティ3
• 風呂5
• 食事2

旅行の目的

レジャー

同伴者

家族

宿泊年月

2017年09月