それは１０月２７日のことだった。私は翌早朝出発の飛行機に乗るため、空港へのアクセスの良いこの宿へ泊まることにした。事件が起きたのはチェックインの手続き中のことである。私がスタッフと予約内容を確認をしていると、突然ロビー内に外国人観光客が大挙して押し寄せたのである。その数は軽く百人を超える。いや、正確な数は分からない。しかし、そう見えるほどの大軍勢であった。ロビー内は巨大なキャリーを抱えた異国人で埋め尽くされ、まるで押し寿司になったような錯覚を覚えるほどである。どうやらツアー団体客のようだが、随行者が見当たらない。時刻は２２時。翌日を４時起床と決めていた私は、一刻も早く部屋へ入りたい。しかし、エレベーターは遥か彼方。辿り着くには試練が多すぎた。なにせ私は外国語を喋れない。通らせてくれとも言えない。そもそも隙間が無い程に人々が密着しているのである。掻い潜って突き進むのは不可能だった。そんな時、私は絶望的な光景を目の当たりにした。彼らはなんとエレベーターに我先にと乗り込み始めたのだ。エレベーターは私の唯一の箱舟。それすらも彼らに占拠されてしまった。手続きをしていない彼らが何故。そんなことより、エレベーターから遥か遠い位置にいる私はいつになったら乗れるのか。私が眠りにつけるのは何時なのか。焦りと苛立ちで頭がグラグラとしてきたーーこちらへどうぞーー私の耳に落ち着きをたたえた優しい声音。その声の主は、私のチェックイン手続きをしていたスタッフだった。彼女は速やかに私を大きな鉄扉の前へと案内した。その重厚な扉が開かれると、そこには鋼鉄製の階段があった。彼女は申し訳なさそうに、階段で四階に上がっていただくご無礼をーーと頭を下げたが、私にとってその階段は天国への階段。一歩踏み出す度に鳴り響くカンという小気味良い音は鐘の音。四階まで上がり、ついに私は部屋へと辿り着いた。そこは４０４号室ーー天国であった。めっちゃいい部屋！ ひゃっほおおおい！ お値段以上ルートイン！ スタッフさん、本当に助かりました。ありがとうございました。

評価

• 総合5
• サービス5
• 立地5
• 部屋5
• 設備・アメニティ5
• 風呂-
• 食事-

旅行の目的

ビジネス

同伴者

その他

宿泊年月

2019年10月