この度はホテルアンビエント安曇野わんわんパラダイスコテージに初めてでのご宿泊ありがとうございました。
お食事に関しましてはご期待に沿えず申し訳ございませんでした。また、雨模様の天候には残念となりましたが北アルプスを覆う雲霞は縹渺として秋の朝を誘い、九月に入っての気温の下がり具合とともに紅葉三要素としての秋雨が錦秋を期待させます。ホテル周辺のナナカマドは夏の果ての陽を浴びて結実の鈴生りを緋色に、ヤマボウシが葉先から取り込んだ紅は天上への奉献と持ち上げた果実も茜の初紅葉です。秋の収穫にぎやかに、脚光の葡萄が集果場を甘い香りで満たしています。今秋は長野県十余年振りの新品種として初出荷を迎えるクイーンルージュがあり、薄紅を含んだ色合いの加わりでナガノパープルとシャインマスカットとの三色揃い踏みが葡萄三兄弟の様相です。
来年に繰り延べの善光寺御開帳での回向柱として幹回り二米はあろうかという樹齢約百五十年の杉が選定され、斧入れも粛々に採納式の運びとなりました。年明け弥生の奉納墨書に向けて約十米の角柱に整えられ、御開帳前立本尊との結いには一日も早い新型コロナ禍難終息の願いが全国へそして世界へと信濃の地から送り届けられます。
雪解けを汲んで萌ゆるに風光り、渓を堰く岩にも颯爽の風は深緑の樹々を抜け、天空のお花畑から夏風が集めた彩りを秋風にして吹き渡らせると、掃く雲を靡かせたまま眠る嶺は白く東風凍てを解くまでの粛然です。繰り越しとなった景色とともに、次回にぜひお楽しみいただけたらと思っております。

ホテルアンビエント安曇野　西川