さすが、老舗ホテルで接客をはじめ、どの点をとっても大満足でした。古い施設を大切に使い、現役の文化財として守っている様子に本当に頭が下がりました。もちろん、最新のホテルの施設とは比べることができません。でも欧州の老舗名ホテルも同じようなところはたくさんあります。歴史に触れていると考えることができればこんなすばらしいことはありません。
　廊下に並ぶ記録写真にはこのホテルの歴史を本当に感じさせられました。また、館内見学ツアーでは手間を惜しまなかった戦前の建物の装飾品がたくさん紹介され感心しました。
　意外なところではトイレの水洗タンクでした。頭上におかれていて私の子供時代のタイプでとてもなつかしく思いました。また、ルームキーも印象的で、絶対に無くすことのない？巨大キーホルダー（Ａ４の半分大のサイズ）に部屋の名前の花の絵が描いてありました。
　それと、従業員の教育も行き届いていました。すれ違う従業員はほとんどが何らかのあいさつをしてくれました。また、案内してくださったうら若いベルガールさんは、とても優しい語り口でほほ笑みながらお客の顔を見て話し、相手の様子を見て待つことのできる人でした。一流どころによくありがちな、完全だけれど近寄りにくいと言ったタイプではなくてとても良かったです。また、レストランではきめ細かく客の注文を確かめてくれたことに大変感心しました。
　もちろん、古い施設だけに今の基準には合わないところもありました。部屋の調度や壁の装飾が意外と簡素だったり、電灯のスイッチなど旧式の部品に驚いた部分もありました。それも建設当時の物を大切にしているからだろうと思います。それだからこそ、若い人たちにも正しい理解が得られるように努め、これからもこのホテルの特性を生かした運営を続けていってほしいと思いました。
　それから、天井の高さも歴史的なホテルであることの証しですね。とってもぜいたくでした。
　とにかく割り引きプランだったのにもかかわらず、満室の週末に花御殿に泊まれたのは幸運でした。ほんのり薄暮色にライトアップされた花御殿はとても素敵でした。
　要望としては、日本では珍しいが欧米では必ず売られているシンブル（陶製のキャップ型指貫き）のお土産があるとうれしかったです。場所も取らず、いたまず、値段も手頃、日本でもきっとどこかが始めると思います。