「和洋折衷の小さな宿は満足度が高い」という自分基準を持っています。建物や内外装に凝り、料理にも造詣が深く、大体ワイン好きでワインセラーを持ったり、そんな教養があり美意識の高いオーナーが、趣味性を発揮して作りこみ、個人客のプライバシーを尊重し出過ぎず要所は押さえたサービス、結果として上質な宿となり、その割に、商売気が希薄でリーズナブルな料金であったりして、満足度が高い宿が出来上がります。洋風旅館を標榜する「ぴのん」さんも恐らくそういう宿に違いないと、今回初めて訪れる伊香保の宿として選びました。
煉瓦積みの外観の円形のロビー棟が個性的なおとぎ話にでてきそうな建物、入るとアンティークの家具と現代アートが融合した不思議な雰囲気です。チェックインに際し、ゆずのジュースが振る舞われます。汗ばむ陽気に気が利いたウエルカム。ただし、荷物は自分で部屋まで運びます。エレベーターはありません。部屋は少し急な階段を上った三階、豪華ではありませんが、花柄のカーテンがかわいらしい、女性が喜びそうなお部屋です。ただしユニットバスはビジネスホテルのそれです。
お風呂は地下に降りて、さらに外廊下を通った別棟にあります。湯船は男性三人はきついほどに小さいけれど、伊香保伝統の金の湯は新鮮なかけ流しで、大きなガラス戸をあけ放てば、林に囲まれたような落ち着いた半露天になります。ただし、三階と地下の別棟まで、実質五階分を急な階段で往復するのは初老の身にはちょっとしたトレーニングです。浴衣OKの夕食はフュージョンのグレードアップを選択。アップしたところのメイン、上州牛のローストが舌の上でとろける！上州牛に良いイメージがなかったのだが、改めました。一皿食べ終わると、きびきびした給仕の女性がさっとやってきて笑顔で下げてくれます。次の料理がすぐに運ばれてきます。ワインをじっくり飲んで会話を楽しみながら料理を待つという時間はありません。そのワインは軽めの赤をボトルでオーダー、一番安いものでしたが、これが到底この値段とは思えないほどおいしい！素晴らしい目利き！ただし、手酌です。
施設・サービス・料理とも、それは一流どころと比べれば見劣りするところもありますが、本質的な部分はしっかり押さえながら、付加価値部分はカジュアルという魅力に上手に転換が図られた結果、ＣＰが高くなり、そこが「ぴのん」さんの強みと感じました。

評価

• 総合4
• サービス4
• 立地3
• 部屋4
• 設備・アメニティ3
• 風呂4
• 食事4

旅行の目的

レジャー

同伴者

家族

宿泊年月

2017年06月