湯西川温泉の一番奥の方にある民宿です。経営しているのは、冬には熊や鹿、猪猟をする方で、家の周りには自家用の畑があり、料理に使う野菜の多くはここで作っているようです。
　温泉は近くにある源泉からそのまま、この民宿にだけ引かれています。温度調整も加水も濾過も何もしていません。本当の源泉掛け流しでした。そのため、3つある窓の内、道からは見えない2つの窓は網戸をつけて全開になっています。24時間、交代でだれでも入ることができます。私は投宿後、夕食後、そして早朝と3回入りました。ただ、源泉そのままですので、長くつかってはいけません。皮膚の弱い人は、温泉に入る前に蛇口から出るお湯をかぶって体に皮膜を作ってから入るとよいようです。実際、長く入ろうとしても肌がぴりついて無理でした。湯から上がると何十分も体から汗が出るほど温まりました。これだけで来る価値があると思います。
　炭をカンカンにおこした囲炉裏でいただく料理は、経営している方が山で仕留めたジビエがふんだんに出てきます。鹿肉と自家製野菜のサラダ、猪肉と熊肉のチャーシュー、取れたて野菜の天ぷら、近くの山で取ったキノコの和え物などが膳に並び、囲炉裏の火の周りには、イワナ、鶏肉、トウモロコシ、肉や木の実、自家製の山椒の実などを叩いて竹べらに盛ったものなどが立て並べてあり、炭火で焼きながらいただきます。大きな鉄鍋にはタップリ、鹿汁が入れてありました。追加料理は頼みませんでしたが、これだけで大人のお腹はもう一杯でした。また、私たちはもう食べられませんでしたが、鹿汁の残りにご飯をいれておじやにできるそうです。デザートはアイスクリームでしたが、宿で飼育している日本ミツバチの蜂蜜がかかっていました。この蜂蜜が絶品でした。朝食もおいしくいただきました。朝の汁は熊肉入りでした。これらのジビエ、まったく臭みはありません。肉が苦手なはずの同行者ももりもり食べていました。
　湯西川温泉の有名旅館を見ながら更に奥に入った民宿でしたが、熊と鹿の毛皮に囲まれた囲炉裏で、宿の方から猟の話を聞きながらの美味しい手食事は、高級旅館では味わえない、得がたい経験でした。獣と共生する山里の温泉民宿、お勧めだと思いますよ。（プライバシーは絶対とか、部屋に金庫がないとダメとかいう方は難しいでしょうけれど。）

評価

• 総合5
• サービス5
• 立地4
• 部屋4
• 設備・アメニティ3
• 風呂5
• 食事5

旅行の目的

レジャー

同伴者

友達

宿泊年月

2024年08月