「ただいま」と言いたくなるような、懐かしさにあふれたお宿。お手入れの行き届いたお部屋には衣桁や鏡台など昭和の頃から愛用されてきた家具が置かれ、畳にゴロンと横になれば、もう体じゅうの力が抜けて、なんだか時空を超えて幼い頃の我が家にいるような心地よさ。
夕方には、徒歩数分の銭湯・日之丸温泉（天然温泉！）へ。もちろんお宿にお風呂もありますが、昔ながらの銭湯を味わいたくて出かけると、そこはまさに往年のドラマ「時間ですよ！」の世界。銭湯を楽しみ、宿に戻ると夕食の時間。カウンターで、シロハタ（ハタハタ）や別注でお願いしたモサエビなど、日本海の新鮮な海の幸が並び、とりわけモサエビはとろりと甘く塩焼きも握りも最高！ 満腹し、気持ちいいお布団で熟睡。翌朝の朝食は、炊きたてのご飯にシロハタの塩焼き、鳥取砂丘で採れたらっきょう、などなど。ああ、おいしい。しみじみ旨い。これで1泊２食このお値段で良いのかしら、と恐縮するほどだけれど、常天さんの素晴らしさはそれだけではない。
特筆すべきは、女将さん。女将さんのお人柄は、客人をもてなす、という域を超えている。懐が深く、広く、まるで友人を迎えるかのように接してくださった。鳥取の観光名所や歴史、むかし話、民芸など幅広い知識をやさしく教えてくれて、巡り方の順序やお得なバスチケット、私が好きそうな博物館の企画展についてなど、ありとあらゆる情報を与えてくれた。また女将さん手づくりの赤シソのジュースがとてもおいしくて「私も作ってみたい」と言うと、新鮮な赤シソが売っているお店に連れて行ってくれたり、そのレシピを書いて持たせてくれたり。「今は繁忙期じゃないからできるのよ」とおっしゃる通り、常日頃これほどの親切を期待するのは全くの筋違いだけれど、女将さんのお心遣いは胸に沁みました。
旅好きで、年間30か所以上の宿に泊まるけれど、常天の女将さんほど心温かい方に出会ったのは初めてかもしれない。女将さん、ありがとう。女将さんのおかげで鳥取が大好きになりました。また、きっと会いに行きます。

評価

• 総合5
• サービス5
• 立地5
• 部屋5
• 設備・アメニティ5
• 風呂5
• 食事5

旅行の目的

レジャー

同伴者

一人

宿泊年月

2017年09月