春さればまず咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮さむ

この度は当館をご利用頂きましてありがとうございます。また、接客、お風呂などお褒め頂きましてありがとうございます。

上記の一首は、『万葉集』にて「令和」の語を序文に含む三十二首の梅を謳った歌会のうち、山上憶良が詠んだものです。
憶良はこの集宴の主、大伴旅人が二年前にこの集宴の地大宰府で、妻の大伴大娘（郎女）を亡くした喪失感を、「私たちふたりのここで、今はあなたの居ないこの春の日を、ひとり梅の花を見て愛惜している」と旅人の心を詠んだわけですね。
ですから、この歌の「ひとり」とは、逆説的に「あなたとふたりで」というイメージが回想され付随する「ひとり」なのですね。

私はこの集宴の三十二首を通読して、この一首が一番心に残りますが、お渡しした駄首は、この一首をオマージュしながら（下手ですが（笑））、逆にその歌旨をお二人の「永の幸せ」を祈念したものに転節したものです。お目汚し失礼致しました。
ありがとうございました。