正しく「昭和の香り」のする温泉旅館です。全6室という規模なので、大規模な旅館にはない「手作り感のあるおもてなし」を満喫できます。さすがに設備は古いです。貸し切り風呂に置いてあるアメニティは容器にマジックの手描きで「シャンプー」「ボディソープ」と表示があります。でも、そこがまた趣のあるところでもあり、ピカピカに磨かれた料亭旅館ではとても味わえない「ほっこり感」でいっぱいです。

そして、何よりも注目すべきなのはお食事！　お部屋の雰囲気は松本清張の小説にでてくる刑事が泊まる部屋はきっとこんな感じ？　と思わせるようなところもあるので、冷めた煮物や色の変わったお刺身がでてくるのではないかと勝手な想像をしていたのですが、見事に裏切られました（もちろん、良い意味で）

夕食は、正統派の和食がお部屋で供されます。お刺身も新鮮で、添えられた大根の「つま」までが美味しい！　おすましやかぼちゃ饅頭に添えられたべっこう餡はいずれも上質の出汁が使われています。その他白和えや揚げ物など、決して贅沢な材料を使っていないのですが、供されるお料理のどれもが本当に素晴らしい。ここの料理長、とにかくすごいです！

朝食は、大広間でこれまた正統派「旅館の朝ごはん」をいただきます。熱々ふわふわの卵焼きと焼きたての干物の朝食はもうそれだけで幸せいっぱい。ちょうど雛祭りに近い時期だったので、女将さんの初節句に贈られた（らしい）立派なお雛様が飾られていて、これもほのぼのと良い雰囲気でした。　

このような旅館は今どき貴重な存在だと思います。〇野リゾートのような「オーガナイズされたおもてなし」とは対極に位置するかと思いますが、「ここでしか味わえない楽しみ」を経験したい方、しっぽりと昭和の雰囲気に浸りたい方には激しくお勧めです。

評価

• 総合5
• サービス5
• 立地5
• 部屋4
• 設備・アメニティ3
• 風呂4
• 食事5

旅行の目的

レジャー

同伴者

家族

宿泊年月

2018年03月