福岡城跡、小倉城を経て、宇佐八幡神宮をお参りし、普通道路をゆっくり南下、シングルでこのホテルに１泊。有名な地獄巡りの鉄輪温泉まで約４ｋｍ、別府駅近くの昔の古い繁華街（竹瓦温泉近く）まで約５ｋｍ、海まで約１ｋｍ位の位置に立地するホテルである。
　スタッフは若く、明るい笑顔で応対してくれる。やはり美しい微笑みとかわいらしい声に接すると、砂漠の旅で、生命の泉にたどり着いたようでもある。　シングルにしては部屋は比較的広く、ベッドもセミダブルで清潔、至って快適である。ビジネスホテルとしては充分の広さで心と身体がが安まる。
　ふと眼を床に落とすと古絨毯の奇妙な形の汚れと擦り傷がかなり広範囲に及んでいる。ベッドに寝ころび、この汚れ模様と一人じっと対面する。芭蕉の俳句か柳樽の川柳が詠めそうでもあり、古い「侘び寂び」と現代の「輪び錆び」を味わうには最適である。
　待望の展望風呂に行く。湾曲する別府湾の美しいラインが、新館にじゃまされかなり切れてしまう。幕が壊れて少し残ったままの芝居を見るようでもある。「新館の屋上にでも風呂作った方が良かったのに」と思いながら、湯船に居るが、湯はかなりぬるく出るに出られず、みじかい長湯を楽しむ。　　部屋にしばらくいて、雑誌で見つけた歴史的木造建築の町営温泉を探しに出かける。湯船も小さくかなり古いが、その情緒は格別である。湯は豊富で熱いのと温いのがある。古き良き別府そのものである。長～い長湯をしてホテルに戻る。この市（町？）営温泉、庶民の選ぶ国宝に値する。もし改装しても、この雰囲気をなくさないで、しっかり守ってほしい。別府市長に心より懇願す。
　翌朝、向かいの新館での朝食に向かう。エレベータの絨毯は、蹴飛ばされ奥にずれ１寸ほど下の地が出ていた。どうも絨毯等には気を使わない主義のようである。
　朝食は、結婚式等の宴会場を使っており、雰囲気と味は大事にしている。これは、大変嬉しい限りであり、素晴らしいので大事に守ってほしい。