かつて某予備校の超人気古文講師が万座をよく訪れると話していて、学生の頃から一度は行ってみたかった温泉地。週末の息抜きさんのクチコミを読んでここに決めた。

パノラマ和室を選んだが、入るとススキの群生越しに大迫力の空吹の景色が目に飛び込んできて圧巻だった。色付き始めた背景の山々とのコントラストが見事だった。双眼鏡や湯上がり用の天然水が客室に備え付けられていてサービスが良い。廊下から鈴虫の鳴き声が聞こえてきて最初はBGMかと思ったが、さりげなく虫籠が置かれていて心が和んだ。

雲海の湯には入館後、夕食後、翌朝と3度入ったが、昼は次第に霞がかっていく幻想的な空吹の情景が、夜は降り注ぐ様な満天の星空が、朝は心に染み渡る様な青空が露天風呂から望め、この上無い気分に浸る事が出来た。まさに天空露天風呂、神話の世界といった感じ。

特に夜の露天風呂は格別。目の前に広がる冬の大三角形や木星などの星々が都会では味わえない程、澄んだ空気と高度でとても良く見え、湯に浸かっているこの皮膚から外は宇宙であるかの様な壮大な空間にしばし時を忘れて感じ入っていた。ただ、栗駒山荘の様なもっと大きな展望露天風呂を期待していたので、朝・夕で男女の大浴場を入れ替え制にして欲しい。裸の男衆が森のくまさん状態で固まって夜空を見上げる光景はあまり美しくない。高濃度硫黄泉との事だが浴感は蔵王の方が濃厚で好み。

夕・朝バイキング形式の食事処では一人客も意外と多く気兼ね無く食べられるのが良かった。夕食の赤城山麗牛のしゃぶしゃふと朝食の温泉卵が美味しかった。

すでに天然温泉と無料マッサージチェアで相当の癒しを得ていたが、nikopopoさんのクチコミを見て『リラクゼーションサロンえん』を利用してみた。やはり手技によるマッサージは別の良さがあり、コミュニケーションを充分に取りつつ時間たっぷり全身をほぐして頂いた。ポイントを押さえた施術もさることながら、話をよく聴いてくれるので心身共に大変癒された。

帰りは一人だったが万座プリンス前まで送って頂き、バスの時間まで牛池周辺を散策し秋景を楽しんだ。高原の清冽な風に吹かれていると「ただひたすら風景の中に立て」という松尾芭蕉の言葉が聞こえてきそうな静かで無心になれる心象風景が広がっていた。ポイントカードも作ったので次回は高原療法で長期滞在したい。

評価

• 総合5
• サービス5
• 立地5
• 部屋5
• 設備・アメニティ5
• 風呂5
• 食事5

旅行の目的

レジャー

同伴者

一人

宿泊年月

2012年10月